研究テーマをものすごくざっくり紹介しています。


1. 半導体レーザーのカオス発振とその秘匿通信への応用

【短い版】

半導体レーザーに少し工夫をすることで複雑な発振を作り出して,その複雑な発振にメッセージを隠す

ような,物理現象に基づく新しい暗号方式を作る,という研究です。

【長い版】

光通信をはじめとした様々な工学分野,レーザーポインター,レーザープリンター,CDやDVDのピック

アップなど,身近なところでも活躍する「半導体レーザー」。

安定して発振して(光って)欲しいです。

レーザーポインターがフラフラしていたり,プリンターが印字できたりできなかったりって,

とても困りそうですよね。


しかし,この半導体レーザー,自分自身の光が少しだけ自分に戻ってくると,とても不安定になります。

例えば,下の写真のように,左端に半導体レーザーをおき,右端に鏡を置いて,レーザーの光を少し

戻してあげます。

(写真だと電源が繋がってないけれど)


そのレーザー光をフォトダイオードで検出。オシロスコープで見たのが下の写真。



上の黄色のプロットが,半導体レーザーの目の前に鏡を置いたときの光の強度を表しています。

見やすくしてみました。



ノイズとかと違って,方程式で表現できたり,例えば,上の写真のデータを使って,横軸は光強度,

縦軸は少し時間をずらした光強度を表すと,下の図のように不思議な模様を描いたりします。




このような一見不規則で複雑な振動だけれども,なんらかの規則性が潜んでいるような振動は「カオス」

と呼ばれ,光学だけでなくて,数学,物理,化学,工学,生物学など様々な分野で観測できます。

ここでは説明しませんが,このカオス,予測ができないという性質(予測不可能性)をもっています。


普通の応用にはやっかいかもしれない「カオス」。すごい複雑だし,予測ができない・・・はて?

・・・それって,暗号にはけっこう嬉しい性質なんじゃないの?


じゃあ,暗号通信につかってみよう!という研究です。

(本当はもっと色々ですけど・・・)


2. レーザーカオスと光ファイバー通信

【短い版】

半導体レーザーで複雑なカオス発振を作り出して新しい暗号方式を作る,という

ことが可能になったとすると,きっと光ファイバーで従前の通信方式の信号と

混ぜて伝送するんでしょうね。なんか悪さしそうですので,レーザーカオスと

光ファイバーや他の通信手法との相互作用を研究しています。

【長い版】

作成中。


3. 日本美術史研究のための光学応用 等

【赤外線カメラを用いた墨線検出とその回復】

 日本絵画には墨線でかかれた下絵などの上から,岩絵具という鉱物を砕いた顔料

 などで着色します。下絵を観測することで絵画の技法の研究に役立つかもしれないし,

 もしかすると下絵の他にも文化的な情報が含まれているかもしれません。

 その墨線を絵画を傷めずに「廉価」に検出するための研究を進めています。

  カラー赤外

  (個人蔵:渡辺左近「牡丹に孔雀図」右が赤外カメラで撮影した画像。)


【刀剣のカオス解析】

 日本刀を制作する際に行われる「折り返し鍛錬」。これとパイコネ変換と呼ばれる

 カオス写像の類似性に注目して,美術品としての日本刀の鑑賞ポイントでもある

 「肌模様」の再現を試みます。作刀過程が伝わっていない日本刀などの再現に

 役立つことを期待した研究です。(柾目肌と板目肌は成功したかも。成果発表済。)


【XXXのカオス解析】

 面白いことに気づいてしまったのかもしれないけれども,まだ秘密。

 位相差顕微鏡を使った楽しい研究,の予定。

最終更新日時: 2024年 06月 25日(火曜日) 17:31